2018年7月05日
こんにちは院長です。
今回は当院のメインテナンスの考え方についてのお話に、ちょっとお付き合い願たいと思います。
昨今、歯科のメインテナンスをネット上で検索すると
『メインテナンスをやたら勧める歯医者は金もうけのためで、いい歯医者ではない』
などという記事や投稿が目につきます。患者様ならまだしも歯科医自身が書いていることがあります。
あまり、他人の考えや行動について批評をしたくない人間なのですが、
これについては、日本国民の健康を損ねる恐れがありますので反論させてもらいます。
メインテナンス(最近は保険のルールや概念上メインテナンスという言葉ではないことがありますが、ここでは便宜上メインテナンス)は、持続的なバイオフィルム(細菌の層)の破壊と除去を行って治療によって得られた口腔内の健康な状態を維持させ、再発を防止することを目的としています。
具体的には、歯周ポケット内の歯周病原菌は、処置した後12~16週で、もとに戻る傾向があります。そこで、細菌の量が悪影響を起こしだす前に、プロフェッショナルバイオフィルムコントロールを行ってプラークを取って、歯周病の再発を予防する治療です。
内容としては、お口の中に悪い部分がないかのチェックと、主に衛生士によるプロフェッショナルケアとホームケアのアドバイスです。
また、歯周病はかみ合わせの力を顕著に受け、悪化する傾向にありますのでかみ合わせのバランスをチェックするのも重要です。
それに、世界的にわかっていることですが歯磨きはいくらきれいにできる方でも、チェックしなければ悪くなり、またポケットが深い部分はどんな上手な方でも磨き残しが出ると言われています。
さてここで、歯周病の特性ともいうべき問題があります。それはデータというよりも臨床を多く経験してわかることですが、中程度以上の歯周病の方は炎症が落ち着いて歯ぐきが健康に見えてもポケットが完全になくなっている方はほとんどいない、ということです。
事実、私も大学病院で歯周病治療を始めたころは上記のデータに従って基本的に3ヶ月の間隔でメインテナンスを行っていました。
しかし、咬み合わせまで治し良くなったようにみえても、歯周病が悪化する方が相当数いらっしゃいました。
よく考えたら当然です。深いポケットは磨けない、上手な方でも磨き残しが出てくる。
そのうえ、3ヶ月に一度ということは、1日3回磨くとして年間にして365日×3=1095分の4でしかないということです!!
そこで、もちろん各患者様の状態によってことなりますが基本的に1月に一度来ていただくように変更しました。(これでも12/1095ですが・・・)
するとやはり、ポケットの状態、炎症の状態も健康的に長期間維持できることが判明しました。しかも劇的な変化がありました。
現在、当院ではすべてのメインテナンスを保険で行っており、お口の中全部の汚れを取る困難さも、どの歯科医院より熟知しているように訓練しています。
ですので、かならずおひとり1時間おとりして徹底的にブラッシングを主としてバイオフィルを除去しています。本来それくらいの時間をかけないと複雑なお口の中はきれいにはなりません。
また窓口負担金に関してですが、改善、悪化を確認する必要がありますので、3ヶ月をめどに検査をしていますので、その月は窓口負担が3000円程度、他の月は1000円いかないくらいです。もちろん他に処置をすればその分かかります。
この時間で保険を使って、メインテナンスを行うと病院の維持費、人件費が出るか出ないかくらいです、もちろん利益は出ません。実は保険のルール上これ以上行っても診療報酬を上げることはできませんので、やればやるだけ赤字になります。
ですので当院のようなシステムで行っている先生は僕がお聞きしたかぎりではいません。
でもなぜ、それを行っているか?それは、これで患者様が治る、そして歯ぐきの状態が維持できることを知っているからです。
もっと言うとこれくらいしなければお口の中の状態が維持できないことを知っているからです。
それが、患者様のためになることをはっきりと確信できています。
このような思いで、お一人お一人のお口の中をよーく見てきれいにしています。これは、僕だけでなくスタッフみんな同じです。ですので、この記事の最初にあるようなメインテナンスの批判を行っている歯科医の方々は、ご自分で徹底してプラークや歯石を取ったことがないんではないかと疑ってしまいます。
もちろん、お口の中を触られることだけでも負担に感じられる方は多くいらっしゃいます。
きちんと説明いたしますが、受けられるかどうかは患者様ご自身で決めていただくことで、無理強いはしません。(あたりまえですが)
特に、当院でメインテナンスを受けていただいている患者様に(最近では効果を写真を撮ってみていただいたりしていますが)、しっかりとご自身のためになっていることを安心していただきたく、記事にいたしました。
今後とも皆様のお口の健康に寄与していきたいと思っています。